学会発表
学会発表

パルテノライドの癌転移抑制効果について、各種学会でもその研究内容は発表されています。

第13回 日本がん転移学会総会 2004年6月 (東京都千代田区)優秀演題賞受賞

「天然NFkB阻害剤パルテノライドはマウス骨肉腫の肺転移を抑制する」

名井陽、吉川秀樹 大阪大学大学院医学系研究科 器官制御外科学(整形外科)

目 的

Nuclear factor κB(NFκB)は種々の腫瘍で高発現し、アポトーシスや腫瘍の進展に関与する種々の遺伝子の発現制御に関わっていることが報告されている。我々は骨肉腫においてvalosin-con-taining protein(VCP)がNFκBの活性化を介して骨肉腫細胞の肺転移能を増強することを報告した。一方、欧米で偏頭痛の治療に使われているハーブの主成分であるパルテノライド(Parthenolide)がNFκBの作用を強力に阻害することが報告された。本研究ではパルテノライドの抗転移作用についてマウス骨肉腫高肺転移株であるLM8を用いた自然肺転移モデルにて検討した。

方 法

LM8細胞に対するパルテノライドの in vitro での作用について、NFκBのゲルシフト法、リポーターアッセイ、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)産生、アポトーシス、細胞遊走能にて検討した。LM8細胞皮下注による自然肺転移モデルにおいて、パルテノライド(0.1μg-1mg/kg/day、腹腔内)の予防的投与(腫瘍移植と同時に開始)および治療的投与(移植後17日目より開始)を行い、肺転移について組織学的に検討した。

結 果

パルテノライドはLM8細胞におけるNFκBのDNA結合、転写活性を阻害し、NFκBの標的遺伝子の一つであるVEGFの産生を抑制、DNA分断を誘導し、さらに細胞遊走能を阻害した。In vivoの肺転移実験では、予防的投与において、肺転移巣の形成を強力に抑制した。しかし、原発巣の増大に対する抑制効果は無く、肺転移巣が成立した後に開始する治療的投与実験では肺転移抑制効果を示さなかった。

結 論

パルテノライドはLM8細胞においてNFκBの活性を阻害し、転移に関連する種々のNFκBの下流の形質を抑制した。In vivoにおいて予防的投与で肺転移を強く抑制したが、原発巣に対する抑制効果が無かったこと、治療的投与では肺転移巣にも無効であったことから、パルテノライドは転移の成立に対して特異的な抑制効果をもつことが示唆された。

雑誌発表

パルテノライドと抗がん剤を併用すると、
抗がん剤に対する感受性が高くなる報告がされています。
出典:ファルマシア 2001.7 昭和大学薬学部 ハーブでがん治療
ハーブと抗癌剤を併用すると、乳癌の抗癌剤に対する感受性が高くなる報告があります。
乳癌の化学療法には、タモキシフェンを中心とした抗エストロゲン剤が用いられていますが、これらの薬は主としてエストロゲン受容体陽性乳癌に有効といわれています。
一方、エストロゲン受容体陽性乳癌には、主として抗癌剤が用いられますが、癌細胞によっては抗癌剤が効かなくなるという“耐性”を示すことがあります。このような耐性を持つ乳癌の患者に抗癌剤を大量に用いると治療効果は上がらないばかりか、強い副作用が現れてしまいます。
乳癌細胞にNF-κBという核蛋白質(NF;nuclearfactor)の濃度が増加すると乳癌細胞の抗癌剤に対する感受性が低下されていることが報告されています。
欧米で関節炎や片頭痛の予防に繁用されるハーブ;フィーバーフュー(ナツシロギク)の活性成分パルテノライドに強力で特異的なDNA結合阻害活性が認められ、乳癌細胞にタキソール注と併用したところ、タキソール単独の場合よりも3.5倍の効果がありました。
DNA結合阻害剤は、そのメカニズムとしてNF-κBのDNA結合サイトにあるシステイン残基と共有結合し、NF-κBとDNAの結合を阻害すると考えられています。パルテノライドもNF-κBのDNAサイトに共有結合すると考えられています。
乳癌以外の細胞でも、抗癌剤に対する感受性の低下にNF-κBの関与が見出されれば、乳癌と同様に化学療法剤とハーブの併用が癌細胞の化学療法剤に対する感受性を高めると考えられます。
将来、ハーブを併用した化学療法で癌治療が可能になれば、薬物の多量投与を回避でき、苦痛や経済的な負担を軽減できると思われます。

論文発表

高知大学医学部も、パルテノライドを投与すると下垂体腫瘍細胞の成長と機能を妨げる働きを示唆したとの内容の論文を発表しています。
「Suppressive effects of dehydroepiandrosterone and the nuclear factor-κB inhibitor parthenolide on corticotroph tumor cell growth and function in vitro and in vivo」
(デヒドロエピアンドロステロンとパルテノライドのin vitro と in vivoでの下垂体腫瘍の成長と機能における抑制効果) Department of Endocrinology, Metabolism and Nephrology, Kochi Medical School, Kochi University, 雑誌名 Journal of Endocrinology(2006) 188, 321-331
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は、抗腫瘍効果(抗炎症薬、酸化防止剤と老化防止効果と同様に)を持つと思われています。下垂体腫瘍細胞でのDHEAの効果を明らかとするために、DHEA単独またはパルテノライドの併用で、in vitro と in vivoでAtT20下垂体細胞の成長と機能についてDHEAの効果をテストしました。
試験管内で、DHEAとパルテノライドがプロオピオメラノコルチンとNF-Bに依存する遺伝子発現に強い抑制効果を持つことがわかりました。それらはまた、サバイビン(代表的な抗アポトーシス因子)の転写活性を抑制し、アポトーシスを誘導しました。
さらにまた、生体内でBALB/Cヌードマウスを使ったAtT20細胞の異種移植で、DHEAとパルテノライドの併用投与が、かなりの腫瘍の成長とサバイビン発現を抑制するとわかりました。この治療は、上昇した血中コルチコステロン濃度を低下させて、腫瘍の成長によって誘発される栄養不良を改善しました。
つまり、これらの結果は、DHEAとパルテノライドの併用治療がin vitro と in vivoで強力に下垂体腫瘍細胞の成長と機能を妨げることを示唆しました。この効果は、少なくとも部分的に、NF-Bによって媒介される遺伝子転写において、例えばサバイビンや他のアポトーシスタンパク質抑制剤を抑制する作用に起因するかもしれません。

そのほかにも、国内外問わず、色々な学会でパルテノライドの癌転移抑制効果について発表されています。

  1. 名井 陽, 岸田友紀, 浅井達哉, 冨田裕彦, 青笹克之, 吉川秀樹. 骨肉腫高肺転移株LM8の肺転移能を規定する分子機構. VCP/NFκB経路. 第20回 日本整形外科学会・基礎学術集会 伊勢市 2005年10月
  2. 岸田友紀, 名井 陽, 吉川秀樹. 骨肉腫肺転移におけるNFκBの役割と天然NFκB抑制剤による抗転移療法の可能性. 第20回 日本整形外科学会・基礎学術集会 伊勢市 2005年10月
  3. 岸田友紀, 名井 陽, 吉川秀樹. NFkBの阻害薬であるパルテノライドは、骨肉腫の肺転移を抑制する. 第23回 近畿肉腫研究会 亀岡市 2004年12月
  4. 岸田友紀, 名井 陽, 吉川秀樹. NFkBの阻害薬であるパルテノライドは、骨肉腫肺転移モデルにおける肺転移を抑制する. 第19回 日本整形外科学会・基礎学術集会 東京都 2004年10月
  5. 名井 陽, 吉川秀樹. 天然NFkB阻害剤パルテノライドはマウス骨肉腫の肺転移を抑制する. 第13回 日本がん転移学会総会 東京都千代田区 2004年6月
    優秀演題賞受賞
  6. 名井 陽. 天然NF-kB阻害剤parthenolideの転移予防効果. 第6回 大阪若手がんセミナー 豊中市 2004年2月
  1. Kishida Y, Fujimoto T, Yoshikawa H, Myoui A. A natural inhibitor of the nuclear factor-kB patheaway, parthenolide, suppresses colonization of murine osteosarcoma cell in lung. Connective Tissue Oncology Society 12th Annual Meeting. Venice, Italy. Nov, 2006.
  2. Kishida Y, Yoshikawa H, Myoui A. The effect of parthenolide on osteosarcoma cell colonization in lung in tail-vein injection model. 11th International Congress of the Metastasis Research Society. Tokushima, Japan. Sep, 2006.
  3. Kishida Y, Myoui A, Yoshikawa H. Parthenolide, a natural inhibitor of nuclear factor-kB pathway, inhibits spontaneous lung metastasis of LM8 murine osteosarcoma. 10th International Congress of the Metastasis Research Society. Genoa, Italy. Sep, 2004.